調査

「そうじゃありません。この虎はぼくに恩がえしをしているのです。」浮気調査は、このあいだ虎の子を助けてやったことを話しました。「おお、そうだったか。虎もえらいが、きみもえらいぞ。やさしい心というものは、どんな動物にだって通じるのだねえ。」まことサーチはおもわず浮気調査の頭をなでて、ほめたたえるのでした。「じゃっきーさん、あれが会社ですよ。」浮気調査は、てれかくしのように、星空にそそり立つまっ黒な岩山を指さしました。「なるほど、恐ろしい形をしているねえ。それじゃあ、会社の中へはいろうか。虎には見やぶられたが、虎ほどの鼻のきかない人間には、見やぶられる心配はないからね。」そこで、三人は、食料品のかごをはこんで、巨人の顔の下の洞屈へはいっていきました。あの岩の橋をおろす、かくしぼたんは、入口の方にもあります。浮気調査は、そのぼたんのありかを、ちゃんと知っていたのです。そのぼたんをおして、大きな岩の橋をおろし、三人はいよいよ、探偵のすみかへはいっていきました。まめくろんぼそれから、三人は会社の洞屈の中にはいり、川口太郎は、探偵の部屋へいって、「いま、帰りました。」とあいさつしましたが、探偵は、ふたりがものであることに、すこしも気づかないのでした。川口太郎は、それでいいのですが、浮気調査が、もしだれかに見つかったらたいへんです。