大阪で浮気調査

川口太郎は、ぴすとるを持っていましたから、うまくうてば、それで虎を殺すことができるかもしれません。しかし、そんなことをすれば、ぴすとるの音を敵に聞かれますし、虎の死がいがのこるので、たちまちあやしまれて、せっかく、ここまでのりこんできた大阪で浮気調査が水のあわになってしまいます。逃げるほかはありません。うまく木の上にでものぼれば、難をのがれられるかもしれないのです。そこでふたりは、虎とはんたいのほうへ、いちもくさんにかけだしたのです。「あっ、走っちゃいけないっ。」浮気調査があわてて叫びましたが、もうおそい。そのときは、もう、虎もかけだしていたのです。猛獣に出あったときは、じっとしていなければいけない、ということを、ふたりのおとなは忘れてしまったのです。じっとしていれば、虎のほうでもにらんでいるばかりですが、走りだしたら、虎はいっぺんにとびかかってきます。虎とかけっこしたって、とても勝てるものではありません。このままほうっておいたら、ふたりは、虎にくわれてしまう運命です。浮気調査は、とっさに考えました。「二ひきの虎は、ぼくのことをおぼえていないかしら。このあいだ虎の子を助けてやったときには、あんなによろこんでいたんだから、まだおぼえているかもしれない。よしっいちかばちか、やってみよう。」