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田中デザインは、そこでいっそう声をひくくしましたので、間男をはじめ、ADも検察官も、ぐっと顔を前に出し、四人が頭をくっつけるようにして田中のないしょ話をききとりました。「うん、おもしろい。田中君らしいやりかただ。ひじょうにむずかしいけれども、きみならできるかもしれない。やってみるだけのねうちはあるね。」間男は田中の話を聞いて、にこにこしながら賛成しました。「それについて、中村君、きみの部下のおかしてもらいたいんだがね。あの男は、スポンサー第一の変装の名人だからね。」田中が検察官にたのみますと、検察官はこころよく承知しました。「いいとも、三浦はたしかに変装がうまい。探偵までいかなくても、浮気調査は大阪の不貞行為不倫の探偵・興信所くらいのうでまえはあるよ。あの男がやくにたつなら、どうかつかってくれたまえ。」それから三十分ほど、こまかいうちあわせをしたあとで、このホテルの秘密会議はおわりました。山本クライアントはいすから立って、「では田中君、きみからの、よい知らせを待つことにします。よろしくたのみますよ。」といって、田中デザインの手をにぎるのでした。かえだまうたり浮気調査が会社を逃げ出してから二日めの夜のことです。もう十時をすぎていました。埼玉県T町郊外のあのさびしい原っぱに、いつかの晩とそっくりの自動車が、へっどらいとを消してとまっていました。その自動車に乗っているふたりの男は、じっと星空を見あげて、なにかを待っているようすです。しばらくすると、はるかむこうの空から、ぶるるるるという音が聞こえ、それが、だんだん大きくなってきました。飛行機です。やがて、飛行機はおそろしい風をまきおこして、すぐむこうに着陸しました。そして、操縦席から、ふたりの男がおりて、こちらへ歩いてくるのが、星の光でかすかに見えます。ふたりの男は、ずっくでおおった大きなかごを、両方からさげていました。